わたしは子供の頃から、父母はもちろん、小学3年まで同居していた父方の祖父母からも怒られたことがない。
姉と一緒に、祖母の財布から小銭を盗んで駄菓子を買ったときも怒られることはなかった。親たちは、見て見ぬ振りをした。
勉強ができなくても誰も怒らなかったし、なかなか朝早く起きられなくても、母はわたしが起きるまで何度でも声をかけてくれた。怒鳴り散らすなんてことはなかった。
大人になって気づいたのだが、実は母は怒っていなかったのではなく、わたしや姉に怒りあらわすのを我慢していただけだったのだ。
なぜか?きっと母なりの愛情だろう。
でも我々姉妹は、「ママ不機嫌だよ、理由は何だろう」といつも気にしていた。
そう、母は怒りを我々姉妹に直接ぶつけることはないものの、「気に入らないことがある」ということは振る舞いから分かっていた。
だから我々姉妹は他人に心を開けない性格になったのだろうか。もちろん理由はこれだけではないだろうが…。
高僧でもない限り、怒りを全く表さない人間なんていないはず。怒りを表に出さないように我慢出来て、そしてその怒りを感じなかったように振る舞えるならば、怒らない育児はさぞかし良いだろう。
かく言うわたしは、娘を怒ってばかり。しかもやってはならない「感情に任せて怒る」ってやつ。
自分の親のことを言えないロクでもない人間。
近い将来、娘からのしっぺ返しがあるだろうね。