父が亡くなった

肺癌闘病から一年。あっと言う間に死んじゃった。
子どもの頃から父のことは好きじゃなかった。だから、末期癌と聞いた時も「ながくないんだね」と冷静に受け止めた。
一年満たない治療で、あっと言う間に死んじゃった。
危篤と聞いて夜中に駆けつけた時にはもう死んでた。せっかちな性格を体現したのかな。
病院で父の遺体を洗わせてくれた。ガリガリに痩せつ元気な頃の面影はなかった。
ただ、やたら穏やかな顔になっていた。生きていた時には見たことない穏やかな顔だった。
今思えば、その時点では父が死んだ実感がなかったんだと思う。何だか訳が分からぬまま、葬儀屋さんの話を聞き…。あぁ、死んじゃったんだ、もう居なくなったんだと理解したのは、火葬直前だった。
それから、やたらと涙が止まらなくて、悲しくて仕方なくなった。父のことは苦手だったのに、もっと娘を逢わせてあげれば良かった、とか後悔ばかり…。私のエゴ。

娘は、通夜も葬式も大人しく乗り切った。母や親戚は、「賢い子になったね〜」としきりに感心していた。
母だけでなく、私たち夫婦も娘の成長に驚く場面もあった。偶然かも知れないが、それは父が死んだ直後からで…、もしかしたら父は孫である私の娘の面倒を見てくれるのかも。